平成23年度税制改正大綱の内容④ 給与所得控除の見直し

給与所得控除については「勤務費用の概算控除」と「他の所得との負担調整」(クロヨン・トーゴーサン)の性格があるとされていますが、現在では就業者の9割が給与所得者(サラリーマン)であり、他の主要国でも上限があること等から、給与所得控除額に上限が設けられます。また、法人役員については給与の自己決定度合いが高いことや高額報酬者は「他の所得との負担調整」部分が過大であるとの理由から制限が設けられます。これにより税制の累進構造の回復を図るとしています。

ここからは私の個人的な意見ですが、私は給与所得控除に上限を設けるのは構わないと思うのですが、役員だけ給与所得控除額が一定の収入を超えると減っていくというのは理解ができません。民主党の最大支持基盤である労働組合へのアピールなのかもしれませんが、会社の役員というのは責任も重く、株主代表訴訟で訴えられるかもしれないというリスクも抱えています。その役員を狙い撃ちしてこのような増税を課するのは、日本の勤労者の向上心をなえさせ、経済の活力を削ぐことになるのではないかと危惧します。

①.給与所得控除の上限設定

年収1,500万円を超える場合の給与所得控除額について、245万円の上限が設けられます。

②.役員給与の給与所得控除の見直し

法人税法上の役員や国会議員・地方議会議員、国家公務員・地方公務員のうち一定の者で、年収2,000万円を超える場合の給与所得控除額について次のように段階的に引き下げられます。

イ.  年収2,000万円超2,500万円以下の場合

245万円から年収のうち2,000万円を超える金額の12%相当額を控除した金額

ロ.  年収2,500万円超3,500万円以下の場合・・・185万円

ハ.  年収3,500万円超4,000万円以下の場合

185万円から年収のうち3,500万円を超える金額の12%相当額を控除した金額

ニ.  年収4,000万円超の場合・・・125万円

なお、給与所得控除額について表にすると次のようになります。

③.特定支出控除の見直し

特定支出控除とは、給与所得者が実際に負担した新幹線通勤の通勤費等の経費の額が給与所得控除額を超える場合に、その超える部分の金額を給与所得控除額に加算することができる制度ですが、現状適用される経費の範囲が狭く、年間10件未満の利用しかないため、適用される経費の範囲が拡大(職務に必要な弁護士・税理士等の資格取得費や職場で着用するスーツ等の被服費、交際費等)され、加算できる控除額の基準が緩和(現行給与所得控除額→給与所得控除額の2分の1(年収1,500万円超は125万円)されます。

上記の改正は平成24年分以後の所得税、平成25年度分以後の個人住民税について適用されます。