財務分析の重要指標19個を分析手法別に分かりやすく解説
企業の健康状態を一目で把握するための「財務分析」
この言葉を聞いて、多くの人は専門的で難解なイメージを持つかもしれません。しかし、財務分析をしっかりと理解することで、企業の成長性や安全性、さらには将来性までが明らかになります。
問題は、多くの方が財務分析の専門用語につまずき、その真価を十分に理解できていない点です。
この記事では、財務分析の基本的な指標をシンプルかつ詳細に解説します。それによって、企業がどのように資金を使っているのか、どれだけ効率的に運営しているのか、そして将来どれだけ成長する可能性があるのか、その全てが明らかになるでしょう。
目次
財務分析が企業の成長危機回避に必要な理由
財務分析を人間の健康診断に例えると、その必要性が非常にわかりやすくなります。
健康診断では、体温、血圧、血液検査などを通じて、人の健康状態を総合的に評価します。異常が見つかれば、早期治療や生活習慣の改善が求められます。
同様に、財務分析も企業の「健康状態」を診断する手段です。以下に、一例を紹介します。
- 業績の低下や財務リスクを早期に発見し、対策を講じることが可能になります。
- 売上、利益、負債など多くの指標を総合的に評価することで、企業の真の状態を把握することができます。
- 企業もビジネスモデルや戦略を見直すことができます。
- 財務分析でリスク要因が明らかになれば、その対策を講じることができます。
- ステークホルダー(株主、取引先、従業員など)と企業との信頼関係を深める手段となります。
「財務分析」の結果に基づいて適切な行動を取ることで、企業は健全な状態を維持し、さらなる成長を遂げることができます。だからこそ、「財務分析」は企業運営において非常に重要なプロセスといえます。
財務分析の重要指標を5つの観点から解説
財務分析は一般的に「収益性分析」「安全性分析」「活動性分析」「生産性分析」「成長性分析」の5つの観点から見ます。ここでは、それぞれの観点で何を確認するのか、さらには代表的な指標についてご紹介します。
収益性分析
収益性分析とは、企業がどれだけ利益を上げているか、または上げる能力があるかを評価するための分析です。この分析は、企業が健全に運営されているか、投資や事業展開が効果的かどうかを判断するために非常に重要です。
主な指標としては、「売上高総利益率」、「売上高営業利益率」、「ROE(総資本対経常利益率)」などがあります。
総資本対経常利益率
総資本対経常利益率(または単に総資本利益率)は、総資本(自己資本と借入金を合計したもの)に対する経常利益の割合を示します。この指標は、企業が投入した資本に対してどれだけの利益を生み出しているかを評価するために使用されます。
計算式は以下の通りです。
例えば、総資本が1,000万円で、経常利益が100万円の場合、総資本対経常利益率は10%になります。
この指標が高い場合、企業は投入した資本に対して高いリターンを得ていると言えます。これは効率的な資本運用が行われている証拠であり、企業の健全性と競争力が高いと評価されます。逆に、この指標が低い場合は、資本の運用効率が低い、または高いコストがかかっている可能性があります。
総資本対経常利益率は、企業が持っている資本(自己資本と借入金)全体をどれだけ効率よく運用しているかを示す指標です。この数値を分析することで、企業の資本効率、健全性、そして成長性を評価することができます。特に、多くの資本を運用する大企業や、多額の借入金がある企業でこの指標は重要になります。
売上高対総利益率
売上高総利益率(または単に総利益率)は、売上高に対する総利益(売上高から直接的な生産コストや販売コストを引いたもの)の割合を示します。この指標は、企業がどれだけ効率的に製品やサービスを生産・販売しているかを評価するために使用されます。
計算式は以下の通りです。
例えば、売上高が1,000万円で、総利益が300万円の場合、売上高総利益率は30%になります。
この指標が高いと、企業は製品やサービスを高い利益で販売していると言えます。それは、生産効率が良い、原材料コストが低い、高い価格で製品を販売できているなど、さまざまな要因によるものです。逆に、この指標が低い場合は、コストが高い、競合との価格競争によって利益が減っている、などの問題が考えられます。
売上高総利益率は、企業が今後どれだけの資金を運営費用(例:販売費、一般管理費)や投資、利益に回せるかを示す重要な指標です。したがって、この数値をしっかりと分析することで、企業の健全性や成長性、競争力を評価することができます。
売上高対営業利益率
売上高営業利益率(または単に営業利益率)は、売上高に対する営業利益の割合を示します。この指標は、企業が主要な事業活動からどれだけの利益を上げているかを評価するために用います。
計算式は以下の通りです。
例えば、売上高が1,000万円で、営業利益が200万円の場合、売上高営業利益率は20%になります。
この指標が高い場合、それは企業が効率的に運営されていると評価されます。具体的には、生産コスト、人件費、その他の運営費用を巧妙に管理して、高い利益を上げている可能性があります。逆に、この指標が低いと、企業の運営効率が低い、または競争力が弱いと見られることが多いです。
売上高営業利益率は、企業の「核心的な収益力」を測る指標です。なぜなら、この指標は企業が主要な事業活動でどれだけ効率的に利益を上げられているかを示しているからです。この数値をしっかりと分析することで、企業の健全性や競争力、さらには成長性を評価することができます。
売上高対経常利益率
売上高経常利益率(または単に経常利益率)は、売上高に対する経常利益の割合を示します。経常利益とは、営業利益に非営業収益と非営業費用(例:投資収益、金利支払いなど)を加えたり減らしたりして得られる利益です。
計算式は以下の通りです。
例えば、売上高が1,000万円で、経常利益が150万円の場合、売上高経常利益率は15%になります。
この指標が高い場合、企業は主要な事業活動だけでなく、その他の収益源(例:投資収益)やコスト(例:金利支払い)も効率よく管理していると言えます。逆に、この指標が低い場合は、企業が非営業活動で費用を多くかけているか、収益を上げられていない可能性があります。
売上高経常利益率は、企業の全体的な収益力と効率性を評価するための重要な指標です。営業利益率が企業の「核心的な収益力」を示すのに対し、売上高経常利益率は企業が広い範囲でどれだけ効率的に利益を上げられているかを示しています。この数値を分析することで、企業の健全性、競争力、そして成長性をより広い視点で評価することができます。
売上高対当期純利益率
売上高当期純利益率(または単に当期純利益率)は、売上高に対する当期純利益(税引き後の利益)の割合を示します。この指標は、企業が最終的にどれだけの利益を確保できているかを評価するために使用されます。
計算式は以下の通りです。
例えば、売上高が1,000万円で、当期純利益が100万円の場合、売上高当期純利益率は10%になります。
この指標が高い場合、企業は税金、金利、その他の非営業活動を含めても高い利益を確保していると言えます。これは企業が全体的に効率的に運営されている、または特別な収益源を持っている可能性があります。逆に、この指標が低い場合は、企業が多くのコストをかけている、または税負担が重いなど、何らかの問題が存在する可能性があります。
売上高当期純利益率は、企業の「最終的な収益力」を測る指標です。営業利益や経常利益が事業活動に焦点を当てるのに対し、当期純利益は企業活動全体、つまり税金や金利支払いなども含めた最終的な利益を評価します。この数値をしっかりと分析することで、企業の健全性や競争力、さらには成長性を全体的な視点で評価することができます。
安全性分析
安全性分析とは、企業の財務安定性やリスク耐性を評価する分析です。
主に、企業が将来の不確実性やリスク(例:利益の減少、債務の返済など)にどれだけ耐えることができるかを判断します。
指標としては、流動比率や自己資本比率などがあり、これらは企業の負債と資産や自己資本との関係を示し、企業の財務の健全性を測ります。安全性分析を通じて、企業の経営基盤の強さや財務リスクを把握することができます。
総資本対自己資本比率
総資本対自己資本比率(または単に自己資本比率)は、企業の資本構造(資金調達の構成)を示します。この指標は、企業の総資本(借入金を含む)に対する自己資本(株主資本)の割合を示し、企業の財政安定度を測るものです。
計算式は以下の通りです。
例えば、総資本が1,000万円で、自己資本が700万円の場合、自己資本比率は70%になります。
この指標が高い場合、企業は自己資本を多く持っており、外部からの借入に依存していないと解釈されます。これは一般的に、企業の財政が安定していると評価され、経営リスクが低いとされます。逆に、この指標が低い場合、企業は借入金に依存しており、利払いリスクなどの財務リスクが高いとされます。
自己資本比率は、企業の財務安全性やリスク耐性を評価する上で重要な指標であり、投資家やクレジット会社など、多くのステークホルダーにとって有益な情報を提供します。
流動比率
流動比率は、企業の短期的な支払い能力、すなわち企業が短期間(通常1年以内)に迫られる負債を現有の流動資産でどれだけ支払うことができるかを示す財務指標です。これは企業の流動性と財務の安全性を評価する重要な指標であり、特に企業の短期的な財務健全性を判断する際に用います。
計算式は以下の通りです。
ここで、流動資産とは現金、預金、売掛金、在庫など、1年以内に現金化が見込まれる資産を指します。一方で、流動負債とは1年以内に支払いが予定されている負債(例:買掛金、短期借入金など)を指します。
流動比率が100%以上であれば、流動資産が流動負債をカバーしていると言え、短期的な財務危機は少ないと考えられます。逆に、100%未満であれば、短期的な支払いに対して資金が不足している可能性があり、注意が必要です。この指標を通じて、企業の短期的なリスクやキャッシュフローの安定性を把握することができます。
当座比率
当座比率は、企業の短期的な財務安定性を測る指標で、流動資産のうち比較的現金化しやすい項目(通常、現金・預金および売掛金)が、短期の負債(流動負債)に対してどれだけの割合で保有されているかを示します。これは企業が短期的な負債に対してどれだけのリキッドな資産を持っているかを示し、企業の支払い能力を評価するための重要な指標です。
計算式は以下の通りです。
ここで、当座資産とは、現金、預金、および売掛金(すぐに現金化できると見込まれる資産)を指します。流動負債は、1年以内に支払う必要がある負債を指します。
当座比率が100%以上であれば、短期的な負債に対して十分な資産を保有していると解釈され、企業の財務が健全であると評価されます。逆に、100%未満であれば、短期的な負債に対する支払い能力に問題がある可能性があります。当座比率を適切に分析することで、企業の短期的な財務リスクやキャッシュフローの安定性を評価することができます。
固定比率
固定比率(または固定負債比率)は、企業の長期的な財務安定性を評価するために使用されます。この指標は、企業の固定負債(長期負債)が全体の資本(総資本)に占める割合を示し、企業がどれだけのリスクを持って資本を調達しているかを測ります。
計算式は以下の通りです。
ここで、固定負債とは長期の借入金や社債など、1年以上の期間を持つ負債を指します。総資本は、企業の資本全体(自己資本と負債の合計)を指します。
固定比率が高い場合、企業は長期の借入金に依存しており、利払いリスクや再融資リスクが高まる可能性があります。逆に、固定比率が低い場合、企業は自己資本を多く持っており、財務が安定していると解釈されます。
固定比率は、企業の資本構造やリスク耐性を理解し、企業の長期的な財務安定性を評価する上で重要な指標となります。投資家やクレジットアナリストは、この指標を用いて企業のリスクプロファイルを分析し、その企業が将来的に安定した運営が可能かを評価します。
固定長期適合率
固定長期適合率は、企業の長期安定性や資金調達の健全性を評価するために使用されます。この指標は、固定資産(長期で使用される資産)がどれだけ長期の資本(自己資本および長期負債)で資金調達されているかを示します。
計算式は以下の通りです。
固定資産とは、土地、建物、機械、設備など、企業活動を行う上で長期間使用される資産を指します。自己資本は、株主からの出資や利益再投資によって形成される資本で、長期負債は、返済期限が1年以上先の借入金などを指します。
固定長期適合率が100%を超える場合、固定資産が長期の資本で十分に資金調達されていると解釈され、企業の財務が安定していると評価されます。逆に、100%未満の場合、短期の資本(短期負債)で固定資産が資金調達されている可能性があり、財務のリスクが高いとされます。
固定長期適合率は、企業の資金調達戦略や財務リスクを評価する上で重要な指標となり、企業の長期的な安定性や成長性を分析する際に利用されます。
負債比率
負債比率は、企業の総負債が総資本(総負債と株主資本の合計)に占める割合を示します。この指標は、企業のレバレッジ(負債を利用した運営度合い)や財務リスクを評価するために使用されます。
計算式は以下の通りです。
例えば、総負債が600万円、総資本が1,000万円の場合、負債比率は60%になります。
負債比率が高い場合、企業は多くの負債を抱えており、利払いの負担が大きいと解釈されることが多いです。これは財務リスクが高いとされ、経営環境の変化に対する耐久性が低い可能性があります。一方で、負債比率が低い場合、企業は自己資本を多く保有しており、相対的に財務が安定していると解釈されます。
負債比率は、企業の資本構造や財務安定性を把握し、投資判断やクレジット評価を行う際に重要な指標となります。企業の財務戦略やリスク耐性を理解するために、この指標を適切に分析することが重要です。
借入金依存度
借入金依存度は、企業の財務指標の一つで、企業がどれだけ借入金(負債)に依存して事業を運営しているかを示す指標です。この指標は、企業の資金調達方法や財務リスクを評価する際に重要となります。
計算式は以下の通りです。
ここで、借入金とは、企業が事業運営のために借り入れた資金(短期・長期の借入れを含む)を指し、総資本は、企業の資本全体(自己資本と負債の合計)を指します。
借入金依存度が高い場合、企業は借入金に大きく依存しており、利払いの負担が増加します。これは財務リスクが高いとされ、利益が減少した場合や金利が上昇した場合に支払い能力に影響を与える可能性があります。逆に、借入金依存度が低い場合、企業は自己資本を多く利用しており、相対的に財務が安定していると解釈されます。
借入金依存度は、企業の財務戦略やリスク管理を評価する上で重要な指標となり、投資家やクレジットアナリストにとって有益な情報を提供します。
活動性分析
活動性分析とは、企業の運営効率や資産の回転速度を評価するための財務分析手法です。この分析を通じて、企業が資産をどれだけ効果的に使用して収益を上げているかを判断します。
主な指標には、総資本回転率や棚卸資産回転率などがあります。
総資本回転率
総資本回転率は、企業が総資本(自己資本と負債の合計)をどれだけ効果的に使用して収益を上げているかを示す指標です。この指標は、企業の運営効率や資本の使用効果を評価するために使用されます。
計算式は以下の通りです。
例えば、売上高が1,000万円、総資本が500万円の場合、総資本回転率は2.0になります。これは、1円の総資本で2円の売上を上げていることを示します。
総資本回転率が高い場合、企業は資本を効果的に使用して収益を上げていると評価されます。これは、企業の運営効率が高いことを示す指標となります。逆に、総資本回転率が低い場合、資本の使用効果が低いと解釈され、運営の効率性や資本の適切な配分に問題がある可能性が考えられます。
総資本回転率は、企業の資本の運用効率を評価する上で重要な指標となります。
棚卸資産回転率
棚卸資産回転率(または在庫回転率)は、企業が在庫(棚卸資産)をどれだけ効果的に管理し、販売に変換しているかを示す指標です。この指標は、在庫管理の効率性や商品の販売速度を評価するために使用されます。
計算式は以下の通りです。
ここで、売上原価は、商品の販売にかかった直接のコストを指し、平均棚卸資産は、期間中の初期と終期の在庫の平均値を指します。
棚卸資産回転率が高い場合、企業は在庫を迅速に販売に変換していると解釈され、在庫管理が効率的であると評価されます。逆に、この指標が低い場合、在庫が長期間保持されている可能性があり、過剰在庫や在庫の古くなりやすい商品の存在を示唆することがあります。
棚卸資産回転率は、在庫管理の効率性や商品の流動性を評価する上で重要な指標となります。
生産性分析
生産性分析は、企業のリソース(人的、物的、資本的など)がどれだけ効果的に活用されているかを評価する分析手法です。
この分析を通じて、投入されるリソースに対するアウトプット(製品、サービス、収益など)の効率を測定します。
主な指標には、労働生産性、労働分配率などがあります。高い生産性は、リソースの効率的な使用を示し、企業の競争力や収益性の向上に寄与します。生産性分析は、経営資源の最適化や業績向上のための戦略策定に役立ちます。
労働生産性
労働生産性は、企業や組織の労働者一人当たりの生産出力を示す指標です。これは、労働者が一定の時間内にどれだけの商品やサービスを生産・提供できるかを測定するもので、企業の効率性や競争力を評価する上で非常に重要な指標となります。
計算式は以下のようになります。
例えば、ある工場で1日に1000個の製品を10人の労働者で生産した場合、労働生産性は1人当たり100個となります。
労働生産性が高いとは、少ない労働力や時間で多くの生産が行われていることを意味し、企業の効率性や生産の最適化が達成されていると評価されます。逆に、労働生産性が低い場合は、生産プロセスの非効率や技術の遅れなどの問題が存在する可能性が考えられます。
労働生産性を向上させるためには、技術革新、労働者のスキルアップ、作業プロセスの最適化などの取り組みが必要です。
労働分配率
労働分配率は、企業の売上高に対する労働費の占める割合を示す指標です。これは、売上高の中で労働者への報酬としてどれだけの部分が分配されているかを示し、企業の収益構造や人件費の重要性を評価するための指標となります。
計算式は以下の通りです。
例えば、売上高が1,000万円で、その中で労働費が300万円の場合、労働分配率は30%となります。
労働分配率が高い場合、企業の売上に対して人件費が高いと解釈され、労働集約的な業種や事業である可能性が高いと考えられます。逆に、労働分配率が低い場合、企業は資本集約的であるか、自動化や技術革新により人件費の削減が進んでいると解釈されることが多いです。
労働分配率は、企業のコスト構造や業種特性、経営戦略を理解する上で有用な指標となります。
成長性分析
成長性分析は、企業の成長の速度や持続性を評価するための分析手法です。
この分析を通じて、売上、利益、資産などの主要な財務指標の時系列的な変動を調査し、企業の将来的な拡大や縮小の動向を予測します。
主な指標には、売上成長率、利益成長率、資産成長率などがあります。高い成長率は、市場の拡大や経営戦略の成功を示す一方、持続性や質の検討も必要です。成長性分析は、投資判断や経営戦略の策定に役立つ重要な手法となります。
売上成長率
売上成長率は、企業の売上が一定の期間にどれだけ成長(または減少)したかを示す指標です。この指標は、企業の成長の速度や市場の拡大、経営戦略の効果などを評価するために使用されます。
計算式は以下の通りです。
例えば、昨年の売上が1,000万円で、今年の売上が1,100万円の場合、売上成長率は10%となります。
売上成長率が正の値を示す場合、企業の売上は増加していることを意味し、市場の拡大や新製品の成功、効果的なマーケティング戦略などが背景にある可能性があります。逆に、売上成長率が負の値を示す場合、売上が減少しており、市場の縮小や競合との競争激化、経営戦略の失敗などが考えられます。
売上成長率は、企業の成長の動向を把握し、経営戦略の方向性を評価する上で重要な指標となります。
利益成長率
利益成長率は、企業の利益が一定の期間にどれだけ成長(または減少)したかを示す指標です。この指標は、企業の収益性の向上や経営効率、市場の拡大などを評価するために使用されます。
計算式は以下の通りです。
例えば、昨年の利益が200万円で、今年の利益が220万円の場合、利益成長率は10%となります。
利益成長率が正の値を示す場合、企業の利益は増加していることを意味します。これは、コスト削減の取り組み、高収益の新製品やサービスの成功、市場の拡大などが背景にある可能性があります。逆に、利益成長率が負の値を示す場合、利益が減少しており、コストの増加、販売価格の低下、競合との競争激化などが考えられます。
利益成長率は、企業の収益性の動向や経営の効果性を評価する上で重要な指標となります。
資産成長率
資産成長率は、企業の総資産が一定の期間にどれだけ成長(または減少)したかを示す指標です。この指標は、企業の拡大や縮小、資産管理の効果性を評価するために使用されます。
計算式は以下の通りです。
例えば、昨年の総資産が5,000万円で、今年の総資産が5,500万円の場合、資産成長率は10%となります。
資産成長率が正の値を示す場合、企業の総資産は増加していることを意味します。これは、新たな投資、事業の拡大、有利なM&A(合併・買収)などが背景にある可能性があります。逆に、資産成長率が負の値を示す場合、総資産が減少しており、資産の売却、事業の縮小、資産の減損などが考えられます。
資産成長率は、企業の資産の動向や経営戦略の方向性を評価する上で重要な指標となります。
財務分析の重要指標まとめ
財務分析の指標は、企業の健全性や経営効率、成長性を評価するための鍵となります。
今回紹介した分析分類と重要指標を適切に解釈し活用することで、企業の強みや弱み、そして将来の機会やリスクを的確に把握することができます。
財務分析は、企業の持続的な成功のための不可欠なプロセスであり、その中心にはこれらの指標が位置していますので、ぜひ何度も読み直して理解してみてください。